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 五十人山は葛尾村と田村市(旧都路村)の境に位置する。葛尾村は原発事故が起きてから全村避難を強いられていたが2016年6月に一部地域を除いて避難指示が解除となった。一昨年(2019年5月の記録)に菅ノ又登山口から登って湯ノ平登山口に下りてみたが、その際に地元の人から五十人山キャンプ場からのルートも除染と登山道の整備が始まったようだとお聞きした。どのようになったかも気になっていたので歩いてみることにした。

<山名> 五十人山(ごじゅうにんやま)822.8m二等三角点峰
<山行期間> 2021年6月5日 (土)
<コースタイム>
五十人山キャンプ場(13:15)→五十人山・三角点(13:43)→五十人石(13:53)→四差路・湯ノ平分岐(14:09)→作業道跡→五十人山キャンプ場(14:21)
<メンバー>
和○(単独)

五十人山キャンプ場
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駐車場にあるモニタリングポスト
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炊事棟の脇を登って行く
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登山道というよりは車の入れる管理道
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ここは県立自然公園特別地域(阿武隈高原中部県立自然公園)
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五十人山と五十人石は双耳峰、そのコルは広い草原になっている
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寝転んで昼寝をしたくなるぐらい気持ちが良い
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ふくしま緑の百景にもなっている(スズランは昔に植えられたもの)
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山頂に建つ東京電力のパラボラ(現在は東京電力パワーーグリッド株式会社が借受人)
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山頂の二等三角点(点名:五十人山)
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 竜子山を下りて五十人山キャンプ場へ移動する。五十人山キャンプ場の駐車場で日陰を見つけノンビリと昼食をとった。土曜日だがお昼を過ぎでいるので誰もいない。キャンプ場は今は使うひともいないのか炊事棟の水は出るもののキャンプサイトは草が伸び放題で現状のまま使用することは難しいと感じた。
 キャンプ場からの道は車が乗り入れられる幅の広い道に変わっていた。どうも一昨年に話を伺った登山道が整備されたわけではなく、管理道が新しく作られたようだけのようだ。真新しい道路の脇には以前の登山道もあるが藪が被さり始まっている。登り始めて20分ほとで山頂広場に着く。ここは双耳峰である北峰(五十人石)と南峰(三角点峰)に挟まれた広場で、50人どころか500人が集まれるほどの広さがある。季節にはヤエザクラが花を付け、ツヅジも見事だ。
 まずは三角点のある南峰に登ってみる。山頂部には東京電力と福島県警の無線中継所(パラボラ)が建っている。回りの木々が伸び過ぎて展望は良くない。休むにはやっぱり山頂広場の草原が良いだろう。次に五十人石に寄ってみる。

ウマノアシガタ? 今度は葉の形を良く確かめてみよう
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もう一つのピークにある五十人石
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五十人山の由来
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五十人石には小さな祠が祀ってある
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 五十人石には小さな祠が祀られ五十人山の説明板もここにある。初めての人は双耳峰を登ったらキャンプ場に戻ると良い。今回は調査も兼ねて湯ノ平コースを下ってからキャンプ場に戻ることにした。湯ノ平コースは標識も整備されていて歩く人も多い。道幅も広く気持ちの良い広葉樹林の中を下って行く。15分ほど下ると湯ノ平から登ってくる林道との四差路に出る。ここは湯ノ平への林道と登山道、それにNHKサテライト(テレビ中継局か?)への分岐になっている。

湯ノ平コースを下って行く
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途中にあるテーブルとベンチ
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林道まで下ると案内板がある
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 四差路から五十人山キャンプ場へ向かうにはNHKサテライト方面へ少し進み左の作業道に入るのだが、歩く人もいないので藪が被さり不明瞭である。特に最初の入口部分がわかりづらい。国土地理院地形図の歩道記号の通りに作業道跡が続いているので問題なく歩けるものの、慣れない人は避けた方が良いだろう。

林道との四差路からキャブ場に戻る作業道跡を辿る
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キャンプ場からの道に出る
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 作業道跡の踏跡を進むと古い登山道と合わさる。右に下がって管理道に出ても良いし、強引に小沢を越して管理道に出ても良い。車を置いてきた五十人山キャンプ場はすぐである。
 以前、環境省の里山再生モデル事業の事業計画でキャンプ場、山頂広場、登山道の除染・整備を2017年~2019年にかけて実施することになっていたが、南相馬市の国見山も古くなった「除染・整備作業のため立入禁止」の立札だけで実際には手つかずだし、五十人山も作業が始まったのかと思ったら期待に反して作られたのは管理道だけだった。花塚の里(花塚山)のように除染をして整備したところもあるが、汚染された山のほとんどが未だに手つかずで立入禁止のままだ。放射線量は着実に衰退し半減期に入ったが、これ以上線量が下がるには長い年月が必要になる。

<概念図>
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<GPSトラック>  往路=赤 復路=青
五十人山
2021.06.05_五十人山(地理院地図)