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 福島県内には「はやま」と呼ばれる山はたくさんある。村落などの端にある山から「はやま」と呼ばれたとの説や地域によっては亡くなった人を葬る山としての役割もあったようだ。また、月山信仰との関わりも深く、出羽三山の羽黒山は現世の幸せを祈る山、月山は死後の安楽と往生を祈る山、湯殿山は生まれかわりを祈る山とされ、人が亡くなるとその霊はまずは葉山に、そして月山へと移ると言い伝えられているという話も聞く。昔の麓の人たちにとっては暮らしと深い関係があったようだ。
 今回調査をしたのは飯舘村臼石にある葉山(八石山)だが、前回の調査は2006年で、当時は朽ち果てていたものの登山道もあって簡単に登ることが出来た。途中には阿武隈山系らしく大岩が点在し、ボルダリングをする人たちの中では知られている山のようだ。

<山名> 葉山[八石山](はやま)657.0m四等三角点峰
<山行期間> 2022年8月2日(火)
<コースタイム>
葉山神社入口・鳥居(13:01)→岩場・一凜花(13:28)→葉山(13:38,13:51)→一凜花(13:58)→葉山神社入口・鳥居(14:17)
<メンバー>
和○(単独)

 臼石の細川牧場の向かいに目印となる八石山入口の石柱がある。そこから石材工場の左脇を通って行くと葉山神社の鳥居が出てくる。参道はかつての石切場の跡だが今では歩く人も無くヤブに覆われている。

マツヨイグサ
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葉山神社入口の鳥居
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参道はかつての石切場への道である
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葉山は花崗岩類の山である
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石切場跡らしく作業道の法面は石垣で組んである
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至るところ大岩である
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見事なシロオニタケ(当然食べられない)
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ボルダリングをする人たちの中で一凜花と呼ばれている大岩
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 参道(作業道跡)を進むと石垣が出てきてかつての石切場だったことがわかる。作業道跡の3折れ目から斜面に取り付いた。前回調査の時は朽ち果てていたものの登山道があって簡単に山頂にたどり着けたのだが今ではそれらしき道形も確認できない。ヤブが濃いわけでもないので歩きやすいところを見つけて岩の間を縫うように登って行く。途中、微かだが踏跡らしきものと思われる箇所もあった。尾根に出る手前で大岩にぶつかる。これがボルダリングをする人たちの中で「一凜花」と呼ばれている大岩のようだ。右から回り込んで尾根に出る。

尾根伝いに大岩が点在する
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傾斜が緩くなると山頂は近い
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葉山の四等三角点(点名:南前田)
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山頂部はこんな感じで木々に囲まれ展望は無い
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 一凜花からは尾根伝いに微かな踏跡が続き山頂へ達する。木々に囲まれた山頂部から展望は得られない。中央部に小さな四等三角点が確認できるものの祠があるわけでもない。かつて踏跡があった村民の森あいの沢への道は確認できなかった。原発事故以来入山する人もなく。山は荒れ放題のようだ。

帰路は凹状地形を下った
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この大岩には以前来たとき注連縄が張ってあった。近くに祠は見当たらない
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参道入口の鳥居に戻った
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県道臼石月舘線の「八石山入口」が目印、幟立もある
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 帰路は一凜花まで下ったら凹状地形に沿って下ってみた。特にヤブに遮られることもなく下部の作業道へと下ることが出来た。登りはかつての登山道沿いに、下りはボルダリングの人たちが使っている凹状地形を下ったが、どちらも明瞭な踏跡があるわけではない。なお、参道(作業道跡)途中から西に進んだところに大岩がある。2006年の調査の時は注連縄が張られていたので、これが葉山神社のご神体なのかもしれない。石切場の跡でもあり当時は祠が祀られてあったとしてもおかしく無い。

<GPSトラック>  往路=赤 復路=青
葉山