P5080002
 福島市街地の北に信夫山がある。古くは青葉山とも呼ばれ、麓では御山とも呼んで町名にもなっている。いろいろな呼び名があっても福島市民にとってはふるさとの山「信夫山」である。信夫山は三つの峰が連なる。西から湯殿神社のある「羽山」、羽黒神社のある「羽黒山」、それに東方に位置する「熊野山」である。そのうち三角点を持つのは羽山(点の記「烏ヶ崎」)と熊野山(点の記「信夫山」)、それに青葉山薬王寺の裏山である寺山(点の記「薬王寺」)である。
 子供の頃の遊び場と言えば飲み屋街の路地裏か、学校帰りに裏山である信夫山を駆け巡るぐらいしか無かった。経専(旧福島大学経済学部)跡地は現在は美術館と図書館になっているが、当時は恰好の遊び場だった。今日は図書館に自転車を置かせてもらって信夫山をノンビリ歩いてみることにした。

<山名> 信夫山(しのぶやま)熊野山 268.1m二等三角点峰
<山行期間> 2021年5月8日 (土)
<コースタイム>
福島県立図書館駐車場(14:03)→養山大清水・月山神社山道入口(14:10)→岩谷観音入口(14:47)→テングラ森(15:15)→第二展望台(15:26)→熊野山(15:38)→羽黒山(15:48)→寺山・薬師の峯展望デッキ(16:06)→羽山駆け道→烏ヶ崎展望デッキ(16:25)→月山神社山道→新幹線慰霊碑(16:56,17:09)→福島県立図書館駐車場(17:17)
<メンバー>
和○(単独)

出発点は福島県立図書館
P5080004
月山神社参道(山道)入口でもある養山大清水
P5080007
月山神社山道入口の案内板
P5080008
民家の前の路地を抜けていく(子供の頃はもっと広いと思っていた)
P5080010
東光寺の前を通る
P5080013
ハローワークの脇を通り駒山公園へ
P5080017
駒山公園にある旧祓川橋(石橋)
P5080020
児童公園(信夫山児童園地)の大木(これ何の木?)
P5080027
かつての祓川は塞がれジョギングコースになっている
P5080032
岩谷観音入口から石段を登る
P5080041
 自宅から今日の出発点である県立美術館図書館を目指す。東北本線の線路を渡って北へ向かい緑がまぶしい並木道の正面に美術館図書館が見える。図書館の駐輪場に自転車を止めて歩きだす。新幹線の下をくぐり1本裏の路地に入ると養山大清水がある。子供のころは豊富に水が流れ飲み水や野菜などを冷やすのに使われていたが、今では微かに湧き出る程度だ。月山神社の参道入口もかつてはここにあった。車が走れない細い道を進んでいくと四中の道に出て東光寺の前を通る。国道13号の信号機はすぐである。
 信号機待ちをしていると土曜日だけあって散歩している人も多い。福島地方検察庁入口の前を通り左に折れてハローワークの脇を抜けると信夫山の駒山公園になる。本参道にあった旧祓川橋はここに移設されている。大鳥居を左に見て祓川に下っていくと信夫山児童園地になり、ジョギングコースを進むことになる。かつての祓川は塞がれて道路とジョギングコースを兼ねた遊歩道になっている。登山を開始する岩谷観音までは図書館からだと約3キロ、45分の道のりである。
 なお、福島市では今年(2021.04.20)からシェアサイクルで自転車の有料貸出が始まり、図書館で借りて岩谷観音に近い音楽堂で返却することもできる。30分で50円なので電動自転車を使う手もある。

岩谷観音は岩壁に掘られた磨崖仏群、三十三観音、地蔵尊、不動尊など60余対が刻まれている
P5080046
鐘撞堂の脇を抜けて登って行く
P5080049
冒険の森から天狗の森(テングラ森)へ進む、途中に小さな石の祠もある
P5080064
天狗の森(テングラ森)のテングラ岩
P5080066
夫婦岩
P5080071
第二展望台に出る
P5080074
 道路から岩谷観音への急な石段を上がる。つづら折れに登る道(女坂)もあるので急な階段が苦手な人はそちらから登るのが良い。石段を登り切ると正面に磨崖仏群があり、右に観音堂がある。また展望台になっていて町並みを見下ろすことが出来る。
 左の鐘撞堂へと進み、更に登って行くと観音寺への車の通れる道に出る。ここにも岩谷観音の詳しい案内板がある。右に折れ少し進むと観音寺裏参道があり墓地へと続いている。ここからは車道を進んでも良いし墓地の中を抜けて近道を進んでも良い。どこを通っても上へと向かえば第二展望台に辿り着く。今日は冒険の森から天狗の森(テングラ森)を抜けて第二展望台を目指した。途中にテングラ岩や夫婦岩などの見所もある。

第二展望台のある信夫山屋外広場(城山公園)の入口
P5080077
熊野山の途中にチゴユリが咲いていた
P5080082
山頂に建つ国土交通省の無線中継所
P5080085
二等三角点を持つ熊野山(点名:信夫山)
P5080088
黄金山大神の碑
P5080090
暁参りと大わらじで有名な羽黒神社
P5080099

 信夫山屋外広場(城山公園)から国土交通省信夫山無線中継所へ向かって登って行くと、羽黒神社の裏参道が左に分ける。右に折れて進むと無線中継所の裏が熊野山の山頂になっている。二等三角点と熊野大神の碑、一段低いところに黄金山大神の碑がある。また山頂から北側には北登拝路口から古峯神社を経て登ってくる登山道ついている。2011年の北拝路口の調査記録
 戻って羽黒山を目指すことにする。道路を下り先ほどの分岐から西へ進むと羽黒神社の裏参道がある。ほんのひと登りで暁参りで有名な羽黒神社のある羽黒山山頂に着く。神社の裏から正面に回り込むと大わらじが目に入ってくるので写真に収める。順序は逆になったが手水舎で清め、冷たい水で喉を潤した。

急な仁王坂を下る
P5080100
御神坂にある信達三十三観音第三番札所の羽黒山観世音(御山観音)
P5080104
野生化したツルニチニチソウ?
P5080107
御神坂にある羽黒神社の赤鳥居
P5080108
薬王寺の薬師堂
P5080110
寺山山頂にある薬師の峯展望デッキ
P5080114
 羽黒神社から仁王坂を下り、一の宮明神をはじめとする小宮群が連ねる急な御神坂を下る。途中に信達三十三観音第三番札所の羽黒山観世音(御山観音)があり羽黒神社の赤鳥居をくぐると七曲坂からの登拝路が右から道を合わせる。2011年の七曲坂登拝路の調査記録
 御神坂を下りきると羽黒山本参道(旧参道)との分岐になるので右に折れて薬王寺の薬師堂への登りにかかる。登り切ったところの右には鐘撞堂が。左に進むとNTTの無線中継所跡がある。ここから羽山駆け道が道路とは別に尾根伝いに付いている。羽山駆け道に少し入ったところで右に踏跡があり薬師の峯展望デッキがあるので寄ってみよう。
 展望デッキからは福島の北側、信達平野が一望でき、右から阿津賀志山、半田山、萬歳楽山、御在所山、手前に鬼越山などが見える。

羽山駆け道を一旦下り道路に出ると除染廃棄物の仮置き場(公園跡)になっている
P5080120
道路をショートカットするように羽山駆け道は続く
P5080123
湯殿山神社
P5080130
烏ヶ崎展望デッキ
P5080133
ちょうど新幹線の真上になる
P5080138
羽山の四等三角点(点名:烏ヶ崎)
P5080140
 薬師の峯展望デッキから戻り一旦道路に出てから舗装路をショートカットするように羽山駆け道を上っていく。月山のピークを左に見て進むと湯殿山神社に着き、さらに進むと烏ヶ崎展望デッキに着く。ここからの眺めも大変良く。眼下に福島市街地、遠くに吾妻、安達太良を望むことが出来る。ちょうど真下を新幹線が走り鉄道好きの子供たちにも人気である。またここまで登ってくるルートとしては、美術館から旧森合配水池跡を経てくるものと、座禅岩を経て月山神社参道を登ってくる道がある。2011年の調査記録はこちらから

四天王岩から月山神社に入る
P5080143
月山駐車場は羽山廃寺跡でもある(きれいなトイレもある)
P5080144
座禅岩
P5080148
足場が不安定なので注意して下ろう
P5080149
南外周道路に出る
P5080152
駐車スペースのところにシャガが咲く
P5080158
駐車スペースがあるところから参道へ
P5080161
参道途中にある三十三観音石仏
P5080162
新幹線慰霊碑
P5080169
新幹線信夫山トンネルの真上から走行車両が見える
P5080174
 混んできたので月山神社の参道を使って図書館に下ることにする。道からちょっと外れて羽山の三角点を写真に収めてから再び羽山駆け道に戻り、湯殿山神社の前を通ってから四天王岩のある月山山頂を抜け月山神社から羽山廃寺跡でもある月山駐車場に出た。
 月山神社参道は道路を横切り座禅岩を左に見て更に下って行く。足場は良くないので注意して下ろう。道がつづら折れになるといくらか歩きやすくなる。南外周道路まで降りたら右に向かう。150mほど進むと右に小さい駐車スペースがあって、左に下って行く道があるので見逃さないように。もし見逃してしまっても西国三十三観音石仏群のところから左に下る踏跡があるので道は合わさる。
 南外周道路から参道を下ると右に三十三観音が鎮座する。更に下ると新幹線のトンネルの上に慰霊碑があるのでいつも寄ることにしている。奥には広場があって、「東北新幹線建設工事慰霊碑」がある。東北新幹線は1971年秋に着工し、10年半の歳月をかけ1982年に大宮~盛岡間が暫定開業した。この間、亡くなった人は103名にもおよんだ。当時は殉職や労災事故が当たり前にあった時代だった。国鉄総裁は高木文雄氏、国鉄は5年後の1987年に分割民営化されてJRと名称を変え、東北新幹線が東京まで開業したのは1991年6月であった。通過する新幹線を見ていると懐かしくもあり何となくホッとする。

トンネルの脇に並ぶ二十四地蔵
P5080177
新幹線の下をくぐり抜け図書館に戻る
P5080178
 トンネル脇のコンクリートの階段には二十四地蔵があり、赤い毛糸で編んだケープがかけられ帽子がかぶせられていた。ここから新幹線の下をくぐり図書館の構内を通って駐車場に戻るには10分とかからない。
 登山ルートとしては、これ以外に信夫山公園から登ってくる羽山南道もある。2011年羽山南道から寺山の調査記録、高校の山岳部時代は今で言うトレイルランで駆け巡っていた信夫山だが、今ではもうその元気も無い。のんびりと自然を楽しむことができるようになったのも年齢がなせる技か。

<GPSトラック>  往路=赤 復路=青